形成外科勤務時代
私は医学生のころから形態を治療する形成外科に興味がありました。大学6年生の時に2か月間好きな診療科を研修するというプログラムがあったのですが、その時に形成外科の診療に参加させて頂き、進路を決めました。
国家試験合格後は、地元の大阪に戻り、大阪の病院で初期研修で救急医療や麻酔科、一般外科を勉強し、その後形成外科医になりました。
形成外科では、良性悪性の皮膚腫瘍、潰瘍、老人性眼瞼下垂、顔面骨の骨折などの治療を行っていました。日本形成外科学会の関連学会を含め、国内外の多くの学会にも参加させて頂き、発表の機会も多く与えられました。これも現在は開業されている、尊敬すべき当時の形成外科部長のおかげだと思っております。
一番の思い出は、ある一人の透析患者様の治療経験です。透析を長年していると血管が脆弱になり、抹消の足への血流が途絶えて壊疽をきたします。まずは壊疽と局所感染に陥った足趾を切断し、distal bypassを行いましたが壊疽が進行し、創処置を行ったのですが、最終的に下腿切断術を行いました。そして長期臥床だったため、認知症状がでてしまいました。元気な患者さんが入院によって老いていく姿を見るのは心苦しかったです。何とか元気になって欲しくて、診療の間や休日当直で時間のある時には車イスを押して一緒に外に出たりしました。決して行ってきた治療が悪かったわけではないのですが、やりきれない気持ちで辛かったです。
ところが下腿切断後、認知症状や体力がみるみる回復し、リハビリを経て義足を作成し元気に自分で歩いて帰られました。約半年にわたる入院でしたが、退院後の元気な姿を見るたびに励まされ幸せな気持ちになりました。
他にも臨床現場で本当に色々な経験をさせていただきました。しんどい事もありましたが、前職に不満はありませんでした。
ところが、転機が訪れました。尊敬していた上司の退職です。私は病院に残るという選択肢もありました。そしてもう一つ、以前から興味があった美容外科への挑戦です。形成外科医として一番気持ちが良い瞬間は、傷をキレイに治すこと、縫合線をほぼわからないくらいキレイに治すこと、外観・形態をキレイにすることです。
そして美容外科へチャレンジすることになりました。